パン職人を目指す場合、いろいろな選択肢があります。
パン屋でパンを作ったり、製パンメーカーで開発に携わったりとさまざま方法でパン職人として活躍することが可能です。
どのような働き方をする場合でも資格は必須ではありませんが、資格あると有利に働きますし、パン職人として求められる知識やスキルもカバーできます。
今回は、パン職人になるために必要なことを解説します。
パン職人の就職先
パン職人として活躍するには、さまざまな方法がありますが、就職先によって、働き方や将来のビジョンが異なります。
パン職人には資格は必須ではなく、実力さえ認められれば活用の場を広げることが可能です。
パン屋(個人店)
よくあるパターンとしては、パン屋で働くことが挙げられます。
個人経営のパン屋で働くと、オーナーなどから直接パン作りを教わることができる、より実践的なスキルは身につくなどがメリットです。
また、小規模な店であれば接客に携わることもあるため、将来的にパン屋を独立開業したい方にとっては学べることがたくさんある就職先といえます。
実力が認められれば、レシピの考案などに関わることも可能です。
ただし、雑務もこなさなければならず、仕事内容が多岐にわたるため、パン職人という仕事のハードさを感じやすい職場でもあります。
ベーカリーチェーン
チェーン展開しているパン屋で働くという選択肢もあります。
個人店のパン屋と比較すると、勤務体制や社内制度が充実していることがメリットとして挙げられます。
確立されたレシピを習得できることも利点ですが、その分、オリジナルのパンを考案するといった機会は少ないことがマイナスに感じる人もいるようです。
また、チェーン店によっては工場でパン生地作りが行われ、店舗では簡単な成形と焼成のみという場合もあるので、パンを一から作りたいという方には向いていないでしょう。
製菓・製パンメーカー
製菓・製パンメーカーへの就職も、選択肢のひとつです。
パンの生産職に携わる従業員として、パンづくりを行います。
大手のメーカーで仕事をするという安定感がメリットとしてあります。
ただし、仕込み・成型・焼成・包装・仕分けなどの工程に分かれて作業を行うため、パン作りの一連の流れに携わりたいといった人には向いていません。
ホテル
ホテルでは、お客さまに提供するパンを作るベーカリーという仕事があります。
材料の仕入れや管理から、パン作り、パンの提供など多岐にわたります。
有名なシェフが在籍することも多いことから、技術力のある上司や先輩から学びやすく、教育面も含めた労働環境が整っている点がメリット。
製パンに関する知識や技術をはじめ、何種類ものパンを焼き上げるオペレーション能力も必要です。
その分、パン職人としての技術向上が期待できますが、仕事のハードさがあります。
レストラン
レストランやカフェで働くパン職人は、製パンが主な仕事です。
特に高級レストランなどでは、ベーカリー専門のスタッフとして雇われるケースが多くなっています。
専門スタッフとして携われるので技術が習得しやすいだけでなく、やりがいも感じやすいことが特徴です。
一定以上のスキルが求められるため、未経験で始める場合には努力が必要です。
パン職人として働くのに必要なこと
パン職人としての働き方はさまざまですが、いずれの場合でも、以下のような知識やスキルが必要です。
パンの知識
パンの資格は必須ではありませんが、パンに関する知識は不可欠です。
知識については、種類や基礎知識、歴史、食べ方、トレンドなど多岐にわたります。
このような知識は、就職時だけでなくお客さまと接するときに役立つものなので、幅広く身につけておくとよいでしょう。
製パンの技術
知識だけでなく、製パン技術も磨く必要があります。
パンにもトレンドがあるため、あらゆるパンが作れるようなスキルを習得しておくとニーズに対応できます。
また、就職先で即戦力として仕事を任されやすくなる点でも有効です。
製パン技術を磨くには、独学や専門学校、オンデマンド講座で学ぶ、資格取得を通じで習得する方法などが挙げられます。
また、パン屋でアルバイトなどをして技術を身につけることも可能です。
接客スキル
就職先によっては、お客さま対応が求められることもあるため、接客スキルがあると有利です。
焼き立てのパンを売り場に運ぶ際に、お客様からパンのことを聞かれることもあるでしょう。
そのような時に、パン屋に限らず飲食店での接客経験も活かせます。
後に紹介するチームワーク力にも関わりますが、コミュニケーション能力に自信がある方は向いていると考えられます。
体力
パン職人は早朝から働くケースが多く、勤務中は立ちっぱなしになることがほとんどです。
小麦粉などの材料をストックしている場所から運ぶのは重労働ですし、パンの成形もパン1つひとつにはそんなに力はいらなくても、パン屋の規模が大きくなるほど個数が多くなるので、腕の力も必要です。
体力勝負となるため、パン職人として働くために体力をつけられるような努力が求められます。
チームワーク力
パンの製造過程において、他のスタッフと分担作業を行うことがあります。
例えば、焼きの工程を他のスタッフが行う場合、焼成スケジュールもみながら仕込みをしなくてはいけません。
また、レストランやホテルでは、料理を出すタイミングに合わせて必要な種類・個数のパンを準備し、提供時間に合わせてパンを温かい状態にする必要もあります。
このように、製パンを担うスタッフだけでなく、職場によってはホールスタッフや料理スタッフなど、他の業務を担うスタッフとも連携をとる必要があるため、チームワーク力も重要です。
計画力
段取りよくパンを製造したり、次の工程を担うスタッフに作業を引き継いだりするには、計画性が必要です。
食べ物を取り扱う仕事では、調理過程で思わぬ失敗をすることも考えられます。
時間どおりに作業を進められるスキルとともに、イレギュラーなことに対して柔軟に対応できる力も必要です。
そのためにも、さまざまな知識や製パンスキルを磨くことも重要といえます。
パンの資格があることのメリット
パン職人になるにあたって資格は必須ではありませんが、あると有利に働くことが多いのも事実です。
ここでは、資格を持っていることのメリットを解説します。
経験がなくてもスキルの証明となる
就職活動時、資格があると自分の知識や技術を証明しやすいです。
特にパン職人として働いた経験がない人の場合でも、資格によって知識や技術を有していることが伝わる点でメリットが大きいと考えられます。
面接時のアピールポイントになる
保有資格が提示できると、面接時にアピールしやすいこともメリットのひとつです。
これまでの業務経験から得られたことを、パン職人として生かしていきたいというアピールももちろん必要となります。
しかし、実務経験がなくても、製パンや製パン周辺のことについて学ぶ意欲があるという、積極的な姿勢を示すことも大きなアピールポイントになるでしょう。
キャリアアップしやすくなる
資格を持っていたり、就職後に資格を取得したりすることで、昇格・昇給しやすくなることがあります。
また、転職によるキャリアアップを目指すことも可能です。
単に有資格者となるだけでなく、資格取得に向けて学ぶことで、新たな知識・技術が身につき、スキルアップにつながります。
パン職人としてあると有利な資格
パン資格にはさまざまな種類がありますが、パン職人として活躍するなら、以下の資格があると有利に働きます。
パン製造技能士
パン製造技能士は、パン製造の知識・技術を証明できる国家資格。
技能検定制度のひとつであり、特級・1級・2級に分かれています。
試験内容は学科試験と実技試験で、年一回実施されます。
国家資格であるパン製造技能士の資格があると、どのような就職先でも通用することが強みです。
パン職人として生きていくという確固たる思いがある人におすすめの資格です。
製菓衛生師
「製菓衛生師」は、厚生労働省が認める国家資格のひとつ。
「製菓」に関する資格ではありますが、菓子パンのニーズも高いため、 パティシエだけでなくパン職人も取得することが多い資格です。
受験には、都道府県知事指定の養成施設で1年以上学ぶか、お菓子かパンの製造業で2年以上従事するかのどちらかが必要となります。
製菓の知識をパン作りにいかせることから、製菓衛生師の資格があれば活躍の幅が広がることもメリットです。
パンアドバイザー
パンアドバイザーは、パンのある暮らしの楽しさや魅力を社会に幅広く伝え、提案できる人の育成を目的とする資格です。
資格の勉強を通じて、パンの原料と製法やパンの歴史、パンの表示の読み取り方などを学びます。
お客様の立場になって、おいしい食べ方を提案したり、その日のおすすめを提供したりできるようになりますし、お客様の生活に取り入れやすいパンの開発にも役立てられるでしょう。
パンコーディネーター
パンコーディネーターは、内閣府が管轄の「公益法人日本生涯学習協議会」が認定する公的資格。
パンの製造というよりは、パンを楽しんで食べるためのアドバイスができるプロを目指す資格となっており、認定講座を受けたうえで、認定試験に合格することにより取得可能です。
パンコーディネーター、パンコーディネーターエキスパート、パンコーディネーターアドバンスの3つがあります。
個人店のパン屋など、接客にも携わるような職場で特に重宝される資格といえます。
ベーカリーインストラクター
日本フードベーカリー協会(JFBA)の認定資格であるベーカリーインストラクターは、最短3ヶ月で資格を取得できることが特徴です。
リライブフードアカデミーの人気講座のひとつであり、オンデマンド講座を受講することで資格が取れます。
オンラインで学べるため、働きながらでも資格取得を目指しやすいことが強みです。
基礎的な知識や技術から、バリエーション豊富な製法まで、体系的に学べます。
たくさんのレシピを習得できるため、資格を取得することで即戦力のパン職人として働くことが可能です。
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